新しい考えが受け入れられないのは当たり前? 現状維持バイアス

新しい考えが受け入れられないのは当たり前? 現状維持バイアス

現状を変える提案や新しい価値観がなかなか受け入れられないということがよく言われています。「別に今のままでいいよね」と思うのは「現状維持バイアス」が原因かもしれません。


1.現状維持バイアスとは?

現状維持バイアスを言葉で表すと、

たとえ有益であったとしても、知らないものや経験したことのないものを受け入れることに心理的な抵抗が生じ、現在の状況に固執してしまう傾向

とあります。
要は脳が知らないものや経験したことないものよりも今あるものの方がいいと考えてしまうということです。
極論を言ってしまえば、このような脳の作りを考えると新しいアイデア、考えがなかなか受け入れられないのもそれは当然と言えば当然ですよね。なぜならば、新しいアイデアや考えというものに対して脳が勝手に抵抗感を感じてしまっているわけですから。

よく言われる例としては、転職の例が挙げられます。
ある日、あなたが行っている仕事とほぼ同じ仕事内容で、給料や待遇がより良い企業から転職しないかと誘われました。企業の経営実績についても丁寧な説明を受けました。
さてあなたは転職しますか?というものです。

ストーリーだけ見ればすぐ転職しようと考えるかもしれませんが、自分の仕事に置き換えてみてください。仕事は今やっているものと同じだが、勤務先、人間関係が変わる…。ただ給料は増える…。さぁ果たして「すぐに転職します」と迷いなく言える人はどれくらいいるでしょうか。

おそらくこの文章を見て、自分も少しためらうかもな…と感じた場合それこそが現状維持バイアスが働いてしまっている状態です。

この現状維持バイアスは様々なところで働いています。これから挙げるような例で嫌な思いや経験をしたことがある方も多いのではないでしょうか。

2.現状維持バイアスの例

リモートワーク

コロナ禍以降一気に定着したリモートワークですが、従来の出勤してオフィスで働く方法からリモートワークに移行する際にとても抵抗を受けた、またはリモートワークの許可を上司が出してくれないという経験がある方は多いのではないでしょうか。
これもまさに現状維持バイアスの最たる例です。つまり今まで出勤していたのだから、リモートワークのような新しいものではなく今までの出勤スタイルの方がいいと現状維持バイアスが働いてしまうのです。たとえリモートワークの方がメリットが大きかったとしてもです。
ちなみに一部では出勤した際のオフラインコミュニケーションに必要性を見出し、出勤を要請しているところもあります。これは現状維持バイアスが働いたからではなくて、出社した方が良いアウトプットを出せる可能性が高いという判断に基づくものでしょう。

定番メニューと新メニュー

行きつけのお店で新しいメニューが出た時や、多くのメニューがあるお店に入ったときに、新メニューやチャレンジングなメニューよりも普段慣れ親しんでいるようなメニューだったり、以前食べたことがあるような定番メニューを頼んでしまったという経験はありませんか?
これも現状維持バイアスです。要はどんなにおいしい新しいメニューがあったとしても以前からあるようなメニューを好んでしまうのです。新しいメニューが生まれてはすぐ消えてしまうのは単においしくないからでしょ、という方もいらっしゃるかと思いますが、たとえ新メニューの方がおいしかったとしても現状維持バイアスが働いてしまえば定番メニューの方が選ばれてしまい、新メニューが消えてしまうということがあり得ます。

新しいビジネス案

仕事でも新しいビジネスや新規事業、さらにはちょっとした社内での改革事項ですら提案してもなかなか受け入れてもらえないですよね。
もちろん、提案した中には費用対効果が悪い、社会的インパクトが薄いなどそもそも実行するに値しないものも混ざってはいますが、それでも実行すれば確実に利益があがる、損失が減るのに!というものまで却下されることもありますよね。
これも今ある事業でいい、慣れ親しんだ手法、手段のままがいいと思ってしまう現状維持バイアスが働いているためこのようなことになってしまうのです。

3.DX(デジタルトランスフォーメーション)にも現状維持バイアスの壁

あとよく世間で言われているDX(デジタルトランスフォーメーション)にも、現状維持バイアスは大きな壁として立ちはだかります。

デジタルを活用して今あるものを変えていこうというのがDXのとてもザクっとした意味ですが、まさにこの今あるものを変えていこうという試みをする上では、今のままでいいと考えてしまう現状維持バイアスは大きな壁になりますよね。
先述したリモートワークもまさにDXに立ちはだかる現状維持バイアスの例ですよね。

ただ、大切なことはこのDXを阻止してしまうような現状維持バイアスが働いてしまった人をどうやってその現状維持バイアスから解放してあげるかです。よく「アナログ人間」などと言ってデジタル機器に明るくない人を揶揄しますよね。ただ、現状維持バイアスから解放してDXを推進するためには、デジタル機器の操作方法が分からない、便利さを知らないという現状を、丁寧に説明して変えてあげるべきです。
現状維持バイアスを減らすにはとにかく新しいものを知ることが重要です。デジタル機器の便利さを知れば、現状維持バイアスも働かなくなり、新技術の導入やDX推進がより進展するはずです。

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